
東京の空の玄関・羽田空港は、京急線や東京モノレールといった路線により、都心や主要エリアからスムーズにアクセスできることで知られています。これらの交通機関は長年にわたり、空港と街とをつなぐ大動脈として、多くの利用者に親しまれてきました。 そうした中で、利用者のニーズがさらに多様化する今、新たなアクセス手段として整備が進んでいるのが「羽田空港アクセス線」です。
羽田アクセス線って何?
羽田空港アクセス線とは、JR東日本が現在整備を進めている新たな鉄道路線です。 この路線が開業すれば、東京駅や新宿駅などから羽田空港への直通ルートが加わり、乗り換えなしでのアクセスが可能になります。所要時間は最短18分と想定されており、既存の京急線やモノレールとあわせて、さらなる利便性の向上が期待されています。
実は「新線」じゃない?
驚くかもしれませんが、羽田アクセス線は完全な“新線”ではありません。 その多くは、かつて貨物専用として使われていた既存の線路を活用して整備される予定です。 すでにあるインフラを“再利用”することで、工期の短縮・環境負荷の低減・コスト削減を実現する、まさに今の時代らしいプロジェクトと言えるでしょう。
開業はいつ?
現時点では、2031年度の開業を目指して工事が進行中。 線路の延伸だけでなく、空港内へ乗り入れるための地下トンネルや高架橋の建設など、技術的にも難易度の高い工事が随所に含まれています。 特に羽田空港の地下を通すトンネル掘削は、まさに“縁の下の力持ち”ともいえる作業です。
軌道工事の現場では、ミリ単位の世界
羽田アクセス線の整備には、既存の貨物線を旅客用として再生するための大規模な軌道工事が不可欠です。 レール、マクラギ、そして道床(バラスト)といった基盤すべてが、旅客列車仕様へと刷新されます。
この工事は主に深夜、列車が走っていない限られた時間に行われます。 現場では高所作業車や軌陸車(線路と道路の両方を走れる特殊車両)を駆使しながら、古い線路を剥がし、新しい軌道を丁寧に敷設。 しかも、線路の幅・高さ・傾きといった各要素は、すべてミリ単位で調整されます。高速かつ静かな走行を実現するためには、こうした緻密な作業が欠かせません。
“パンドロール調整型クリップ”が支える、精度と効率
このような精密施工の現場で、弊社が取り扱う調整型クリップが重要な役割を果たしています。


このクリップは、高さ方向に最大+20mm、通り方向に±5mmの調整が可能で、現場ごとの微妙な不陸や線形のズレにも柔軟に対応。 従来の方式では時間と手間がかかっていた細かな調整も、よりスピーディーかつ正確に行うことができます。
その結果、施工の省力化・省人化を実現しながら、品質も確保。 まさに、“効率”と“精度”を両立させる次世代の締結装置として、現場から高い評価を得ています。
陰で支える技術が、未来の「当たり前」をつくる こうした最新技術や職人たちの手作業が一体となって、羽田アクセス線は着実に形を成しつつあります。 数年後、何気なく乗ったその一本の電車が、東京と世界をなめらかにつなぐ。 そんな「未来の当たり前」は、いまこの瞬間、現場の積み重ねによってつくられているのです。